沖縄キャンプの魅力はここだ!糸井嘉男×上田剛史 Special対談

沖縄キャンプの魅力はここだ!糸井嘉男×上田剛史 Special対談
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OkinawaTraveler編集部

沖縄キャンプの魅力はここだ!国内9球団が今年も沖縄で春季キャンプを実施。ここでは、沖縄キャンプを経験した糸井嘉男さんと上田剛史さんに現役時代の思い出や、今年のキャンプで絶対に見てほしい選手など、沖縄キャンプの魅力をさまざまな視点で語ってもらった。

ベイスターズの日本一、ジャイアンツの強さ復活など2024年シーズンを振り返る

──2025年シーズンへ向け、各球団さまざまな動きが出ていますが、まずは2024年シーズン振り返っての感想を教えてください。
糸井 セ・リーグでは、結果的にベイスターズが日本一になったけど、ジャイアンツが強かったんじゃないかな。阿部(慎之助)さんが就任1年目でリーグ優勝したわけだから。タイガースも盛り上げてはくれたけど、ジャイアンツの強さがまた復活した印象かな。パ・リーグは、もう断トツ過ぎとしか言いようがないよね。
上田 だって、主要な打撃タイトルすべてホークスの選手ですからね。
糸井 ファイターズも頑張ったけどね。新庄(剛志)さんも3年目であそこまで選手を躍動させたから、25年のシーズンが楽しみ!

──タイガースが連覇を逃した原因はどこにあると思われますか?
糸井 他の5球団がタイガースをたたこうといろいろ研究してきたことで、序盤に苦しんだのが大きかった。特に打撃陣が本当に打てなかった。そのなかでもAクラスをキープしていたわけですから、ある意味すごい。ほぼ全員が調子悪かったなかで2位になったわけやから、やっぱり力はあるなと思いましたよ。

──上田さん、古巣のスワローズは、3連覇のあと2年連続で5位と苦しい戦いが続いていますが……。
上田 正直、あんまり見ていないんですよね……。
糸井 おい! 俺が対談相手にお前を指名したんだから、ちゃんとやって!
上田 分かってますよ。冗談じゃないですか(笑)。まぁやっぱり一番大きかったのは塩見(泰隆)のケガですよね。あと、山田(哲人)の調子もまったく上がらなかったこと。ピッチャーも正直よかったと思える人がいなかった。チーム状態がよかったときは、山田がよくて、村上(宗隆)もよくて、ピッチャーもそこそこよくてっていう感じだったじゃないですか。その真逆の状態が続いているので、順位にも影響しているんじゃないかと思います。

─おふたりは24年2月、沖縄キャンプには行かれましたか?
糸井 タイガースとファイターズのキャンプは視察にいきました。タイガースは優勝した直後だったので、すごく盛り上がってましたよ。
上田 僕は2月1日にスワローズのキャンプに行きました。
糸井 それは、やばない?
上田 やばいですよね。だって、「来るの早くない?」って言われましたから(笑)。その時感じたのは、僕が在籍していた頃よりすごく明るくなったなと。僕らのとき、キャンプといえば本当に地獄だったので、練習量も違いますし、そういうのもチームの雰囲気に関係しているのかと思いました。あと、機械が本当に増えているなと。
糸井 機械?
上田 今、ものすごいデータを取るじゃないですか。その機械がめちゃくちゃ多くてメジャーみたいになってて。
糸井 確かに、機械えぐいんよ。キカイダー! って感じやもん。
上田 バッティング練習のときも、僕らの時代は監督やコーチが見ているだけでしたけど、今は機械を持っているアナリストもいるんですよ。ペナントレース中もアナリストがベンチに入っている球団も増えていますから、そういう時代になっているんだなと改めて実感しました。

──おふたりが現役時代も今ほどではないですが、データを活用していたと思います。現役時代、そういうデータは気にされていた方ですか?
糸井 ある程度データは見ていましたけど、打席に立ったときとか、投げているときの感覚っていうのはすごく大事だと思います。データがすべてじゃないなっていうのもありますしね。
上田 この前テレビでイチローさんが、「感性を大事にしろ」って言ってました。
糸井 あと「今の野球はデータの中だけで動いているからおもしろくない」とも言っていたかな。だから、それに対抗して、俺はデータが大事!って言ったほうがいいのかな。でも、それは違うな、やめとこ(笑)。

新監督や新加入選手に注目の2025年シーズン

──25年の春季キャンプの話に移りたいと思います。沖縄でキャンプの行う3球団が新監督の元での始動となります。はじめに、糸井さんも一緒にプレーされた経験もあり、上田さんも対戦経験のあるタイガースの藤川球児監督について、どのような印象を持たれていますか?
上田 僕、タイガースの新監督は糸井さんだと思っていたんですけど(笑)。
糸井 俺も思ってた(笑)。バファローズが同級生の岸田(護)を監督にしたわけだから、そろそろ俺ら世代に出番がくるなって。だから、いつ電話が来てもいいようにしばらく携帯を手放せなかったけど、まったくかかってこなかったわ(笑)。俺のことはさておき、藤川監督については、なるべき人がなったという印象。引退してからずっとタイガースのことを考えていましたし、リーダー気質がある人ですから、やってくれると思います。不安があるとすればヘッドコーチがいないこと。実は僕、立候補したんですけど、「嘉男、いらん」って断られました。
上田 アハハハ。そんなことがあったんですね。僕は、監督就任会見のとき「力がないベテランは必要ない」みたいな厳しいことを言っていたので、チームにメスを入れようとしているような気がします。だから、秋季キャンプも細かいところまで視線を送っていんだなと思いましたし、本当に危機感をもってやっていくという感じは受け取りましたね。
糸井 現役時代からコミュケーション力もすごかったから、投手全員に慕われていましたね。

──ドラゴンズの井上一樹監督の印象はいかがですか?
糸井 僕が阪神時代にヘッドコーチとして関わっていますから、よく知っていますよ。井上さんは、盛り上げ方の上手な人。少し結果が出ていない選手にもいいタイミングで声掛けをするし、コミュケーション力も高い。だから、ドラゴンズは一気に変わるんじゃないかな。
上田 でも、ライデル(マルティネス)がいなくなるのは厳しいですよね。
糸井 そこな。ドラフトで金丸(夢斗)くんを取ったけど、まだルーキーやし。
上田 2ケタ勝ちますかね?
糸井 起爆剤にはなると思うけど、やってみないと分からない部分もあるしな。だから井上監督が、新しい人材を発掘して、ベテランの中田翔が目覚めてくれれば変わる可能性は高くなるよ。

──上田さんは、イーグルスの三木肇監督には、現役時代に指導を受けた立場だったと思いますが。
上田 三木さんには、よう怒られましたね。特に走塁に関しては、すごく厳しい人でしたから。でもたくさんの引き出しを持っていて、選手の特徴や能力をしっかりと分析できるので、慕っている選手も多いと思います。
糸井 ファイターズ時代にコーチだったから俺も知っているけど、慕っている人は多い印象だね。
上田 山田哲人の走塁を開花させたのは三木さんですから。あと、いろんな作戦を考えるのが得意な人でもあるんですよ。だから、三木さんをヘッドコーチにしたいっていう監督さんが結構いたって聞きましたよ。

──各チームの新戦力を見るのもキャンプの醍醐味だと思います。なかでもセ・リーグ連覇を狙うジャイアンツは、オフに大型補強をしました。
糸井 リリーフなんて、大勢、(アルベルト)バルドナードがいるのに、ライデルまで取ったわけでしょ。そして、上田と同級生のマーくん(田中将大)も入ったわけだし。普通に考えたら強いよね。
上田 セ・リーグの順位予想で1位をジャイアンツにする人が大半のはずですよね。
糸井 俺としては、(坂本)勇人の起用法は気になるけどね。
上田 サードになってすごく楽になったって本人も言っていましたから、今シーズンはやってくれるんじゃないですか。
糸井 でも甲斐(拓也)を取ったことで大城があぶれちゃう部分もあるから、そこをどうするかは正直読めない。阿部さんが甲斐に自分の現役時代の背番号を渡しているから、正捕手は決まりだと思うし。
上田 とにかくキャッチャーは溢れかえっていますから。昨シーズン頑張った岸田(行倫)もいるし、(小林)誠司もまだまだやれると思いますしね。

絶対にいろんなところを回った方がおもしろい!沖縄キャンプの楽しみ方とは?

──キャンプ期間中、選手たちは観戦するファンに、どういうところを見てもらいたいと思っているのでしょうか。
糸井 やっぱり、どんな練習しているかを見てほしいかな。
上田 僕は現役時代、キャンプを見てほしくないって思ってたんです。だって、地獄のキャンプだったので、こんなに苦しんでいるところは見ないでー! って感じでしたよ。
糸井 そうだったの? 個別練習で、泥まみれになっている自分を見てくれ! って感じじゃないの? 俺は、外野だったから泥だらけになったことはないけど(笑)。
上田 僕も外野だったので、泥だらけにはならなかったですけどね。
糸井 沖縄にキャンプを見に行くなら、ひとつの球団だけじゃなくて、複数球団の練習を見てほしい。チームごとで内容もやり方も違いがあるから、いろんな楽しみ方ができると思う。
上田 僕もそう思います。1週間とか10日ぐらい滞在できるなら、絶対にいろんなところ回ったほうがおもしろい。2~3日だとしても2月後半ならジャイアンツ、スワローズ、ベイスターズなら1日で回れます。

──ご自身で経験された沖縄キャンプで、印象に残っていることはありますか?
糸井 体力的には本当にきついんですけど、沖縄ってそのしんどさを忘れさせてくれる風土があるから、晴れやかな気持ちで毎日の練習を迎えられたことかな。
上田 沖縄での1カ月は本当に楽しかった。練習は本当にきつかったですけど、なんか楽しいなって思えていたので。

 

選手おすすめの飲食店やオフ日の過ごし方は??

──キャンプ期間中、選手は宿舎での生活が主になりますが、休日前などは外食などで街に遊びに行くことはあるのでしょうか?
糸井 タイガースの宜野座も、ファイターズの名護も、都市部の那覇からは遠いので、そこまで出かけることはあまりなかったですね。たまに那覇で食事するくらい。上田との初対面もたまたま行った那覇のバーみたいなところやったはず。
上田 本当に偶然でしたね。
糸井 あのとき、青木(宣親)おったな。
上田 いましたね。
糸井 そこで初めて会ったときに「こいつ、俺と同じにおいやな」って思って、そこから「ブラザー」って呼んでるから。
上田 顔も似ていますしね。話はそれますが、昔新千歳空港で糸井さんとガチで間違われて、訂正することもなくそのままサイン書きましたよ。
糸井 俺の?
上田 はい。急に駆け寄ってきて「糸井さん、サインください!」って言われて。糸井さんのサインも知っていたので、書いちゃいました(笑)。
糸井 なにしてんねん(笑)。もらった人びっくりやわ。

──キャンプ中に外食されたことも多いと思いますが、おすすめのお店があれば教えてください。
糸井 名護なら「朝日レストラン」でしょ。選手もよく行っている店だし、ステーキが病みつきになるおいしさ! あとは、店の名前を忘れちゃったんだけど、豚しゃぶの店もおいしかったな。
上田 有名ですけど浦添の球場近くにある「高江洲そば」は、スワローズのキャンプにきたら絶対に行ったほうがいいと思います。めっちゃ人気で選手も行きますし。キャンプ中は行列必至ですけど。

──沖縄といえば、泡盛が有名です。2024年12月には泡盛をはじめとした伝統的酒造りがユネスコの無形文化遺産に登録もされました。お酒が好きな選手は、キャンプ中、休日前にはよく飲まれることは多いですか?
上田 選手によって違いますよね。毎日飲む人もいれば、僕のように休みの前は飲むとか。泡盛だと、残波をよく飲んでいましたよ。あとみんなで、ハブ酒も飲んでいました。
糸井 僕はプロテインしか飲まなかったから(笑)。でも、休み前日の夜は、選手にとっても楽しみの一つやから、いい感じで飲んでる人は多かったですね。

──食事の場などで、選手とファンが鉢合わせする場面もあるかと思います。そういう場合、ファンは声をかけてもいいもいいものでしょうか?
糸井 プライベートな場なので、できれば避けたほうがいいと思いますが、一人でいるとか、チームメートだけなら声をかけるくらいはいいのかな。休日だと家族と過ごす人もいるから、そういう場合はダメやな。
上田 僕も選手だけでいる場合なら、サインくださいとかはOKだと思います。

──練習中にファンからサインをお願いされることも多いかと思います。やはり練習後にもらう、というのがマナーになるのでしょうか?
糸井 そですね、練習中はさすがにかけないからね。練習終わりのほうが、選手も書きやすいと思う。
上田 僕、ファンの方にサイン頼まれて書いてたら、バッティング練習の時間に遅刻して、怒られたことあります。
糸井 キャンプはすごい近くで選手を見られるから、ファンも目の前に選手が通ったらどうしても突発的に動いちゃうよね。選手も声をかけられたら書いてあげたいけど、練習を優先しなきゃいけないから。今は各球団がHPとかSNSでキャンプのメニューを発表しているし、終わる時間も予測できるからそこを狙うのがいいんじゃないかな。

ズバリ!沖縄キャンプでの注目選手や球団はココだ!

──最後に、今年の沖縄でキャンプをする球団の中で、必ず見ておいたほうがいいという選手を教えてください。
上田 やっぱり、今年最後のキャンプになる可能性があるスワローズの村上でしょう。彼がどんな練習をしているかを堪能してもらえればいいんじゃないでしょうか。ピッチャーならドラゴンズの髙橋宏斗かな。
糸井 俺はタイガースの佐藤輝明。ポスティングでメジャー行きたいって球団にも言ったしね。臨時コーチで僕も行くかもしれませんし(ニヤリ)。
上田 ヘッドコーチが無理だったから、臨時コーチですか。オファーがあったんですか?
糸井 ちょっとね(笑)。
上田 決まったらいつ頃?
糸井 前半になるかな。だから、今からキャンプが始まらないかなって、ワクワクしてまるよ! で、上田はいつごろ沖縄に行くの?
上田 まだわかんないです。自由人なんで(笑)。でも、後半にはスワローズとジャイアンツには行きたいと思っています。「88年会」を盛り上げないといけないので、ジャイアンツの田中と坂本には会いたいな。
糸井 同世代やもんな!
上田 そのほかだとカープの秋山(翔吾)、ドラゴンズの大野(雄大)とかも、沖縄キャンプ組なのでぜひ注目してください!

▼プロフィール(糸井)
糸井嘉男(いとい・よしお):写真左
1981年7月31日生まれ、京都府出身。2003年ドラフト会議自由枠で北海道日本ハムファイターズに入団。プロ3年目の野手転向で大ブレイク。3球団を渡り、最高出塁率3回、首位打者・盗塁王各1回を獲得。引退後は解説者としても活躍中。

▼プロフィール(上田)
上田剛史(うえだ・つよし):写真右
1988年10月2日生まれ、岡山県出身。2006年の高校生ドラフト会議で東京ヤクルトスワローズに3位指名を受け入団。現役時代は俊足強肩を武器に活躍し、ムードメーカーとしても存在感を示す。引退後は自身の会社を立ち上げるなど活躍中。

 

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