ぐっとくる沖縄陶器 “やちむん(焼き物)”を探す旅
沖縄では陶器のことを“やちむん”(焼き物)と言います。沖縄と焼き物は深い歴史があり、辿れば15世紀まで遡ります。300年以上も続く窯元や、窯元が集まりひとつの街として作り上げたエリアもあるほど。その文化は今もなお続いています。
目次
受け継がれる伝統工芸。沖縄の焼き物“やちむん”
ここ数年、陶器は高級品というイメージとは離れた、リーズナブルで普段使いできる焼き物がブームになっています。伝統を受け継いだ作家の作品、新たな観点を取り入れた若手作家の作品、それぞれ違った味とテーマを持っています。
やちむんの伝統的な柄には、魚や牡丹、エビや唐草などがあり、豊かさや子孫繁栄といった願いが込められています。伝統技法にこだわった作品には、角度によって違う見せ方ができるものもあり、あらゆる表情が楽しめます。
若手作家の作品の特徴は様々で、点打ちとよばれる水玉模様のカップやお皿、古典柄を現代風にアレンジしたご飯茶碗など、伝統からインスパイアされた作品は個性的ながらも、暮らしに馴染むデザインが多いです。
沖縄の焼き物の販売店やセレクトショップは窯元がある場所に集中しているので、探索がてら街を遊歩すると面白い発見やとっておきの器に出会えるはずです。「これカワイイ!」と思ったら迷わず買いましょう。
那覇市でやちむんを探す~壺屋やちむん通り~
那覇市公設市場から、ひめゆり通り向けに徒歩5分の距離にある壺屋やちむん通り。
ここは、沖縄のやちむん発祥の地、根源とも言える場所です。沖縄の焼き物は壺屋から各地へ派生したと考えられており、伝統を受け継いだ窯元、工房が集まっています。
壺屋やちむん通りは石畳になっているのが特徴で、赤瓦の屋根にシーサーがあるお店とカラッと晴れた空が合わさると、ノスタルジックな、別の空間に迷い込んだような気分にさえなります。 通りにはやちむんのセレクトショップ、工房、カフェもあるので、探索や息抜きにはぴったりなエリアです。
そんな趣のある壺屋やちむん通りにあるショップ「新垣陶苑」では、伝統工芸士が創りだした作品が多く販売されています。
カラフルな南国をイメージする魚や唐草柄をモチーフにしたお皿から、沖縄の海を連想するターコイズブルーのマグカップなど珍しい色彩のやちむんも揃っています。
時間を忘れて土遊びが楽しめる陶芸体験ができる工房がここ「育陶園 やちむん道場」。
風情ある赤瓦家で、やちむん職人が使う道具や土など同じ材料を使って本格的な体験ができます。スタッフが1人ずつ付いて丁寧に指導してくれるので初心者や子どもでも安心です。
※体験した作品は最長2か月半後に焼き上がり、送付されます。
読谷村でやちむんを探す~やちむんの里~
沖縄県中部に位置する読谷村にある“やちむんの里”。その名の通り窯元(作家)が集まった地域で、観光スポットとしても名が高いほど有名。
焼き物や陶器の趣、知識がなくとも、読谷の“登り窯”は是非見ておきたい景観です。
丸い雲が階段状に連なった焼き窯が、沖縄らしい瓦屋根の下に、いくつも設置されているのです。途中から坂道を登るように設置されており、この形から登り窯と呼ばれるようになりました。
登り窯は全部で4つあり、期間を決めて年に数回、異なる窯元が魅力的な作品を創りだしています。
やちむんの里一帯にはギャラリーを兼ね揃えた工房やショップが多く、扱っているやちむんは作家の個性で溢れ、見ていて飽きません。
1922年に4つの窯元が共同で開いた読谷焼北窯。
その隣にある「読谷山焼北窯売店」には、食卓に沖縄の温もりを添えてくれそうな日常づかいの器が並びます。
壺屋焼の名工・島袋常恵氏を父に持つ、島袋常秀氏の工房に併設された「ギャラリーうつわ家」もおすすめです。
伝統を守りつつ、さまざまな技法を取り入れた作品は、どんな料理とも相性が良さそうなやさしい柄の器が多いのが特徴です。